治療した場合の効果
長生きに役立ちます。
無治療の睡眠時無呼吸症候群(SAS)の生存率
中等〜重症の睡眠時無呼吸症候群を、治療せずに放置しておくと、8年後には約40%の割合で死亡していますが、CPAP治療を正しく行うと、睡眠時無呼吸の無い一般の人とほとんど同じ程度に生きられることが知られています。
QOL(生活の質)の向上に役立ちます。
発表された多くの調査を綿密に調査した結論として、中等〜重症の睡眠時呼吸障害では、CPAPで日中眠気、QOLなどの改善が得られることがわかりました。
(Continuous positive airway pressure for obstructive sleep apnoea(Cochrane Review)
in: The Cochrane Library, 2001,3
Giles TL, et al
ベットパートナーのQOLの向上に役立ちます。
いびき・睡眠時呼吸障害などではベッドパートナーのQOLが障害されます。
CPAP治療を適切に行うと、本人のQOLの改善が得られるだけではなく、配偶者のQOLも改善することが証明されました。
(Quality of life in bed partners of patients with obstructive sleep apnea or hypopnea after treatment with continuous positive airway pressure.
Parish JM, et al. Chest 2003; 124: 942-947)
成人病(生活習慣病)の予防・改善に役立ちます。
睡眠時無呼吸症候群は以下のような種類の成人病と深い関係にあります。
睡眠時無呼吸を治療することによって、このような成人病も改善することが知られています。
SASに合併する成人病
生活習慣病の多くは,無呼吸低呼吸指数が高いほど(つまり、重症度が高いほど)合併率が高くなります。
(眠時無呼吸症候群患者における生活習慣病の合併について 中俣正美、他:日本呼吸管理学会誌 12(2):250-255, 2002)
高血圧
睡眠時呼吸障害の無い人に比べて、中等症〜重症の睡眠時呼吸障害を持つ人が高血圧になる頻度は 約2.89倍でした。(Chobanian AV, JAMA 289:2560 - 2572, 2003)この調査結果は医学界にも大きな影響を与えました。
この報告を受けて、 米国高血圧合同委員会第7次勧告で、睡眠時呼吸障害は高血圧の明確な主要原因の一つとしてみなされました。
高血圧は動脈硬化を引き起こし、心臓病、脳卒中などの大きな原因になります。積極的に睡眠時呼吸障害も高血圧も治療しましょう。
睡眠時無呼吸症候群で高血圧になってしまった後では、CPAP治療は血圧を下げる効果があります。数多くの資料がありますが、次の文献も厳密な調査結果で血圧低下を証明 したものです。
※閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者さんでCPAP 治療をすると、血圧は有意に下がる。
(Pepperell JCT, et al Lancet 359: 204-210, 2002)
心臓病(狭心症などの虚血性心臓病)
SASを持っている人は、持っていない人に比べて平均寿命がはるかに短くなります。
SASの人が病死する場合、その主もな原因は心血管疾患(心筋梗塞、心不全、不整脈など)と脳血管疾患(脳卒中:脳出血、脳梗塞など)です。重症のSASを持っている人は、SASの無い人に比べて、致死的な心血管疾患になりやすいことが示されています。また、CPAP治療を行うとSASの無い人と同じぐらいに安全になることも分かります。大変重要な資料です。

OSASを持っている人の心臓血管病の発生率
新たに発生した心臓血管疾患を合計した数をOSASの重症度別、および治療(CPAP)を行った群で比べて、12年間観察した経過を示す
Marin JM, Carrizo SJ,Vicente E,Agusti AG.
Lancet. 2005 19-25;365(9464):1046-53.
Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnoea-hypopnoea with or without treatment with continuous positive airway pressure: an observational study.
脳卒中
心血管疾患と同じく、脳血管障害(脳卒中)はOSASを持っている人の命とQOLを損なう主要な原因の一つです。OSASの無い人に比べると、OSASを持っている人は高率に脳血管障害がおこることが分かっています。OSASが軽症でも脳血管障害を増加させていることは大変注目されています。
睡眠呼吸障害と冠動脈疾患、心不全、脳血管障害との関係
呼吸障害指数(RDI)が高くなるほど(SASが重症になるほど)、冠動脈疾患、心不全、脳血管障害の発生倍数(オッズ比)は大きくなる
Sleep-disordered breathing and cardiovascular disease:cross-sectional results of the Sleep Heart Health Study.
Am J Respir Crit Care Med.2001 Jan;163(1):19-25.
Shahar E,Whitney CW,Redline S,et al.
一方、CPAP治療を行うと、脳血管障害などを含む心血管傷害の発生は少なくなることが分かっています。
(Marin JM, et al.Lancet. 2005 ; 19-25;365(9464):1046-53.)
糖尿病
睡眠時無呼吸(OSAS)は糖尿病の原因となることが明らかになりました。とくに、肥満の無い人でもOSASで糖尿病になりやすくなることは注目されています。
(Am J Respir Crit Care Med 2002; 165:670‐676)
一方、CPAP治療を行うと、インスリン抵抗性は改善され、糖尿病は軽快することが明らかになりました。
(J Clin Endocrinol Metab 1994; 79: 1681-1685)
メタボリック症候群の予防・改善に役立ちます。
OSASの患者さまは、非OSASの方と比べて、メタボリックシンドロームになる頻度は約9.1倍にもなる。
(Coughlin SR.et al. Eur Heart J 2004;25:735-741)
CPAP治療で、内臓脂肪を減少させることができる。
(ChinK:Circlation 1999;100:706-715)
自動車事故などの事故防止、作業の効率向上に役立ちます。
追突事故などの自動車事故
重症SASでは、約25.5%の人が自動車事故をおこしています。
SASを持っている人でも、CPAP療法を受けると、非SASの人と同じ程度に事故率は減少します。
(睡眠時呼吸障害 Update 2006, 井上雄一・山城義広編集、日本評論社、2006)
OSAS患者のAHI別にみた事故率の比較
作業効率改善
睡眠時無呼吸を持っていると色々な面で作業効率の低下をきたしますが、CPAP治療を行うと作業時間(パフォーマンスタイム)、や認識力・企画力の向上が得られます。
(Acta Neurol Scand. 2007 Jan;115(1):1-11)
その他、さまざまな症状の予防・改善に役立ちます。
EDやその他頭痛、夜間頻尿などの予防・改善に役立ちます。
その他、SASは以下のような症状を引き起こします。適切に治療することにより、このような症状は軽減・消失、あるいは予防できることが知られています。
臨床症状
| 睡眠中の症状 | 日中の症状 |
|---|---|
| いびき 異常呼吸 異常な体動 頻回なる覚醒 頻尿 夜尿症 |
過眠傾向 居眠り 起床時の頭痛 記憶力・集中力の低下 性欲の減退 性格の変化 労作時の息切れ |
成人病と生活習慣33(10)1103,2003
