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医療関係者さまへ

症状・検査・治療についての詳細

 OSASの頻度について

AHI: Apnea-hypopnea Index
一時間当たりの無呼吸・低呼吸発作の回数。
一回当たりの無・低呼吸の持続時間は10秒以上が対象です。
AHI=>5で睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
OSASの重症度分類
AかBで重症な方を採用する。

A:眠気によるもの

軽症 あまり集中力を要しない活動中(TV鑑賞、読書、乗客など)に眠ってしまう。
社会的、職業的に障害はわずか。
中等症 多少集中力を要する活動中(コンサート、会議、発表中など)に眠ってしまう。
社会的、職業的に中程度の障害となる。
重症 より集中力要する活動中(食事中、会話中、歩行中、運転中など)に眠ってしまう。
社会的、職業的に著明な障害となる。

B:閉塞型呼吸イベントによる

軽症 15 >= AHI >= 5
中等症 30 >= AHI >= 15
重症 AHI >= 30

※AHI >=20 が積極的な治療の対象といわれております。

臨床症状

睡眠中の症状 日中の症状
いびき
異常呼吸
異常な体動
頻回なる覚醒
頻尿
夜尿症
過眠傾向
居眠り
起床時の頭痛
記憶力・集中力の低下
性欲の減退
性格の変化
労作時の息切れ

成人病と生活習慣33(10)1103,2003

SASと日中高血圧

オッズ比   95%信頼区間
AHI(/h) 高血圧(-) 高血圧(+) 高血圧(-) 高血圧(+)
<5 1   -  
5 to < 10 1.25 1.52 0.8〜2.0 1.0〜2.3
10 to < 20 1.80 2.07 1.1〜2.9 1.4〜3.1
20 to < 40 1.81 2.15 1.1〜2.9 1.4〜3.2
> 40 1.93 4.15 1.1〜3.3 2.7〜6.5

Grote L, et al.AJRCCM 1999

 
 

 症状について

図1:閉塞性睡眠時無呼吸症例の睡眠ポリグラム
  横軸は時間で全長=5分 上段:全就眠中のSpO2経過

右の症例をご覧下さい。

図1は閉塞性睡眠時無呼吸症例を示しています。 呼吸気流は外鼻穴近くに留置されたサーミスタと圧センサーで測定されていますが、頻回にフロー曲線がフラットになり、呼吸が停止・低下していることが分かります。 その間も胸郭・腹壁の動きはあり、上気道閉塞による無・低呼吸であることを示しています。

無・低呼吸の時間帯はライトブルーで示されています。 全時間の中で無・低呼吸の占める時間は76%にも達し、残りの僅か24%の時間でのみ換気が得られていることが示されています。 無・低呼吸の結果、SpO2 は低下し(紺色のマーク)、最低のSpO2= 59%にまで低下しています。まさに、“窒息”状態と言えます。上段は就寝中のSpO2の経過を示していますが、70%前後のSpO2低下が頻回に生じていることがわかります。

このように、OSASでは上気道の閉塞に由来する重篤な低酸素血症が睡眠中に頻回に生じており、睡眠中である為に本人は自覚していないものの、低酸素血症・上気道閉塞に対する生体の強い反応(強い呼吸努力、睡眠障害など)が生じることとなります。 このような状態が持続すると、昼間の眠気のみでなく、健康が損なわれるであろうことは容易に納得できます。

上気道が閉塞している間の強い吸気努力で、胸腔内には強い陰圧が生じ、静脈帰来の増大、右心室の拡大などが生じ、血行動態・心機能への干渉が生じます。 また、利尿も生じ、夜間頻尿をきたします。 低酸素血症・交感神経活動亢進は代謝干渉の結果、DMの増悪、メタボリック症候群の悪化、高血圧、動脈硬化などの代謝疾患に結びつくことが分かっています。まさに、OSASは成人病(生活習慣病)の入口(Dr成井)とも言えます。


 
 

 治療効果について

OSASの治療は

  • 生活習慣の改善:主として肥満の改善
  • 手術療法:適応が限られる。扁摘術など
  • 口腔内装置(Oral Appliance):中等症以下に適応あり。
  • nCPAP(経鼻的持続気道陽圧):治療効果が高い

などがあります。その中で、nCPAPはOSAS治療のGold Standardとも言える中心的な治療方法となっています。

図2:重症OSASに対するnCPAPの効果

図1の症例は重症のOSASで、一晩の間に、前半は診断PSG検査(診断のみを目的とする睡眠ポリグラフィー検査)をいっています。 診断の結果、重症OSASと確認でき、nCPAPの適応が確定し、夜半以降は nCPAPを施行して、CPAP圧の調整を行っています。(タイトレーションPSGと呼びます)

診断PSGの部分では SpO2のトレンドでは頻回に低下し、70%前後になっています。上気道の閉塞の結果、換気が障害されて高度低酸素血症に陥っています。もし、高度な狭心症あるいは脳動脈狭窄などが潜んでおれば、狭心症あるいは脳梗塞などの発作が起こり得る危険な状態です。例え、そのような血管病変が合併していなくても、全身が高度な低酸素血症に繰り返し晒されることで健康を害するであろうことは容易に想像できます。

夜中に nCPAPを開始して、約10cm前後の陽圧をかけると換気が改善されて、SpO2は劇的に改善し、SpO2低下のイベントは完全に消失しております。良好な換気が得られると、苦しさから開放され、深睡眠を表す睡眠ステージ3・4が現れ、REM睡眠も認められます。 前半では、睡眠が深くなると呼吸ができなくなるために、睡眠は浅いレベルにどどまり、REM睡眠も得られておらず、睡眠の質は非常に劣化しております。このように、nPAPで熟眠が得られていることが明瞭に示されています。換気不良の間は心拍数も高く、変動し、循環に負担がかかっています。しかし、nCPAPの後は心拍数も安定し、循環負担も解消されています。REM期の心拍数の動揺は生理的な範囲です。

OSASでの換気不良の状態がnCPAPで正常化し、睡眠、循環などが劇的に改善する有様を是非理解ください。


 
 

 スコアリングについて

SASを疑ったら症状によるスコアリングで評価ください。

あなたの最近の生活のなかで、次のような状況になると眠ってしまうかどうかを下の数字でお答えください。

質問のような状況になったことがなくても、その状況になればどうなるかを想像してお答えください。

Epworth sleepiness scale(ESS)

0 = 眠ってしまうことはない
1 = 時に眠ってしまう(軽度)
2 = しばしば眠ってしまう(中等度)
3 = ほとんど眠ってしまう(高度)
1.すわって読書中 0   1   2   3
2.テレビを見ているとき 0   1   2   3
3.会議、劇場などで積極的に発言などをせずにすわっているとき 0   1   2   3
4.乗客として、1時間続けて自動車に乗っているとき 0   1   2   3
5.午後に横になったとすれば、そのとき 0   1   2   3
6.すわって人と話しているとき 0   1   2   3
7.アルコールを飲まずに昼食をとった後、静かにすわっているとき 0   1   2   3
8.自動車を運転中に信号や交通渋滞などにより数分間止まったとき 0   1   2   3

※範囲は0〜24点、数字が高いほど強い眠気の存在を示す。正常10点以下、高度の傾眠は16点以上である。